FXの損切りの目安とは?無駄な損切りを減らす3つの方法

こんにちは、塚田です。
 
FXで損失が続くと「自分は損切りが上手くできているのか?」と疑問に思いますよね。
 
損切りが続いていたり、損切りの目安が分からず、困ってはいないでしょうか?
 
そこで、今回は誰もが抱える悩みである「損切りの目安」についてお伝えしていきます。
 
この記事を読むことで、無駄な損切り減らす方法と、具体的な損切りの目安を知ることができるでしょう。
 

損切りの基本

 
FXにおける損切りの基本は「損失を拡大させないこと」につきます。
 
損失を拡大させずに、口座の資金を守りながら収益をあげることが一番の目的です。
 
なぜなら、損切りができなければ、100勝1敗のトレードでも、たった一度の負けで全ての資金を失ってしまうことも考えられるからです。
 
時に、予想を超えた大きな値動きをするのがFXの市場ですから、損切りはいかなる場合も必ず設定しておく必要があります。

「損切りさえ設定していれば安全」は真っ赤なウソ

 
損切りは基本中の基本ですが「損切りさえ設定していればよいか?」というと、そうではありません。
 
FXでは、逆指値注文で損切りを設定したとしても、想定を超える損失が発生することがあるからです。
 
 
過去の例で言えば「スイスフランショック」が分かりやすい例です。
 
スイスフランショックとは、2015年1月15日に、スイス国立銀行(中央銀行)の政策変更によって引き起こされた、外国為替市場の急変動です。
 
スイスフランショックでは、ユーロとフランの合成通貨である、EUR/CHFが約20分でおよそ3800pipsの大暴落となりました。
 
このような相場の急変動時には、設定した損切りラインから価格がずれて注文が約定(やくじょう)することがあります。
 
 
設定した価格からずれて注文が通る訳ですから、預け入れた証拠金以上の損失を被ることもあります、それがいわゆる追証(おいしょう)です。
 
追証(おいしょう)とは、簡単に言えば「借金」のことですね。
 
 
例えば100万円口座資金として預け入れていたとしても、口座資金以上の損失が発生した場合は、足りない金額を補填しなければなりません。
 
スイスショックでは国内の取引所で取引をする多くの個人投資家が、追証により想定を超える損失を被りました。
 
つまり、いくら損切りを設定したとしても、それだけでは、完全に損失を限定できているとは限らないのです。
 
 
ですから、プロのトレーダーは、DMMFXやクリック証券などの国内のFX業者を使うことはほとんどありません。
 
それは、資金管理上、国内の証券会社で取引することが望ましくないからです。
 
国内の業者は追証もありますし、レバレッジも低いので資金効率が悪く、多くの資金をロックされるからです。(IG証券のノックアウト・オプションは除く)
 
基本的にプロのトレーダーは追証が存在しない海外の取引業者を使った取引がほとんどです。(海外の業者では、追証が発生しないゼロカットシステムが多く採用されているからです)
 
「損切りさえ設定しているから安心!」と考えるのは、初心者に誤解が多い部分なので忘れないでおきましょう。
 
では、以上の損切りの基本を踏まえた上で、無駄な損切りを減らす方法と損切りの目安についてみていきましょう
 

無駄な損切りを減らす方法

①他のトレーダーが損切りを置くポイントに設定しないこと

 
無駄な損切りを減らす方法の1つは、「他のトレーダーの損切りが集中するポイントに設定しないこと」です。
 
これは「多くのトレーダーが損切りを設定しているポイント」と考えてもらっても間違いありません。
 
 
損切りが大切なことは、書籍やネットでも語られているので、FXを始めたばかりの初心者でも損切りの重要性は知っていると思います。
 
しかし、初心者はキリのよい数字や目立つポイントに、安易に損切りラインを設定することが多い傾向にあります。
 
例えば、ドル円であれば、100.00円、101.00、105.00などのキリのよい数字(ラウンドナンバー)に多くのトレーダーの損切り注文が集中する傾向にあります。
 
 
なぜ、キリのよいポイントに損切りを設定してはいけないかというと「プロのトレーダーに狙われる価格帯だから」です。
 
この現象は「ストップ狩り」とも呼ばれ、マーケットを動かす巨額の資金を持つ機関投資家は、初心者トレーダーの損切りを発動させることによって、FXの市場を瞬間的に動かし収益をあげることがあります。
 
 
FXの市場は取引相手が存在する相対取引(あいたいとりひき)ですから、個人投資家が損失を出している裏では利益をあげている人がいることは忘れてはいけません。
 
初心者トレーダーの損失が、プロトレーダーの利益になっているのです。
 
FX市場の基本的な仕組みと勝てない理由についてはこちらの記事も参考にしてください。
 
 
 
ですから、ラウンドナンバーなどのキリのよい数字にピッタリ損切りを設定すると、無駄な損切りを増やしてしまうことになるでしょう。
 
また、目立つ高値や安値など、誰もが注目するポイントにも損切りが集中する傾向があります。
 
では、どうすればよいか? 対策としては損切りが集中するポイントから、「何ポイント(数Pips)か離して損切りを設定する」のが基本になります。
 
何も考えずに、目立つポイントに損切りを設定してはいけません。
 
「多くのトレーダーが損切りを設定するポイントはどこか?」と考え、ずらして設定することで、無駄な損切りを減らすことができるでしょう。
 

②固定のPips幅で損切りを設定しないこと

 
無駄な損切りを減らす方法の2つ目は、「固定のPips幅で損切りを設定しないこと」です。
 
固定のPips幅での損切りとは、30Pips,50Pipsなどの、固定された損切り幅で損切りを行うことです。
 
固定幅でおこなう損切り方法は、一見すると損失をコントロールできているかのように感じますが、無駄な損切りを増やす原因になってしまいます。
 
なぜなら、固定のPips幅で損切りを設定しても「変化する相場には対応できないから」です。
 
 
例えば、1日に200pips以上動く、変動幅が大きい相場で損切りを10pipsで設定するのと、1日に50Pipsしか動かない相場で、10pipsの損切りを設定するのでは、全く意味が変わってしまうからです。(高いボラティリティの相場では10Pipsなどの損切りでは一瞬で損切りになってしまうから)
 
固定の幅で損切りをするのではなく「損切りラインまでのPips数を計算し、その幅に合わせてトレードのポジションサイズ(取引数量)を変えていく」方が理にかなっているのです。
 
 
例えば、損切り幅までが100Pipsになるようなマーケット状況の場合は、枚数を10万通貨単位で取引し、50Pipsの損切り幅となるマーケットの場合20万通貨単位で売買すれば、変動幅が小さくても大きくても、一度で失う金額は同じ金額になるからです。
 
固定のPips幅で損切りをすることでも、損失は限定できるので完全に否定はしませんが、相場の仕組みから考えると理に適っているとはいえません。
 
固定の損切り幅を設定しても変化する相場に、対応することができずに、無駄な損切りを増やす原因になるでしょう。
 
先に損切りポイントまでの幅(Pips数)を計算して、その幅に合わせて取引枚数を調整する方法が損切りの基本となります。
 
 
※トレードスタイルごとの損切りの目安
 
ネット上の情報では、デイトレードの損切りの目安は○Pips、スイングトレードの損切りの目安は○Pipsという情報を発信しているサイトがいくつか見られました。
 
短期の売買をするよりも、長い時間軸で長期の売買をする場合の方が、必然的に損切り幅も大きくなりますので、損切り幅に合わせて取引枚数を調整していくことが必要になるでしょう。
 
 

③意味もなく損切り注文を変更しない

 
無駄な損切りを減らすには、意味もなく設定した損切りラインを変更しないことが大切です。
 
ポジションを保有した後は、ポジションに対する執着がうまれ、「儲けたい」「損をしたくない」などの感情が発生し、判断を狂わせる原因になるからです。
 
覚えておかなければならないことは、FXのトレードにおいては、「感情を元にした判断は99%間違っている」ということです。
 
 
ですから、エントリーをする前の、何もポジションを持っていない状態で考えた「一番はじめに決めた損切りライン」を守ることが、多くの場合最良の選択になる傾向が強いです。
 
もちろん、損切りを変更することによって、一時的に利益が増えたり、損失が減ったりする場合もありますが、長期的に考えれば、トレードのパフォーマンスに悪影響となることは間違いありません。
 
損失を受け入れられない悪い癖がついてしまうので、損切りをずらす癖は早めに治しておいたほうがよいでしょう。
 
 
損切りを変更する例外は2つあります。
 

①損切りを変更する例外:ポジションを翌週に持ち越す場合

 
1つは数週間に渡ってポジションを保有するスイングトレードにおいて「ポジションを翌週に持ち越す場合」です。
 
週末の土日に大きな政治的イベントが控えている場合には、週明けにはファンダメンタルズの状況を織り込み、ブローカー(業者)のスプレッドが拡大し、価格が損切りポイントに達していないのに損切りになってしまうことが度々あるからです。
 
※スプレッドとは、通貨ペアを売る際に適用される「Bid(売値)」と、通貨ペアを買う際に適用される「Ask(買値)」の差額のこと
 
ですが、週をまたいでポジションを保有して損切り幅を広げるのはリスク管理の観点から考えると、あまりよい方法とも言えません。
 
土日に大きなイベントが控えている場合には、ポジション(建玉)を減らすなどの、リスク管理をすることが必要になるでしょう。
 
 

②損切りを変更する例外:トレーリングストップを用いる場合

 
そしてもう一つは、損切りを拡大するのではなく、利益が出た場合に縮小していく、トレーリングストップを用いる場合です。
 
※トレーリングストップとは、価格変動に応じてロスカットラインを変更していく手法です。「トレール」とは、英語で「追跡する」という意味で、利益が出るに合わせて損切り注文を移動していく手法です。
 
 
以上の例外を除き、基本的に損切りは、感情が入っていないエントリー前(建玉前)に決めたラインを守るのが最良の判断となることが多いです。
 
損切りを意味もなく変更することは、無断な損切りを増やす原因になると覚えておきましょう。
 
 

損切りの目安、損切りラインはどこに設定するべきか?

 
無駄な損切りを減らす方法を理解したところで、次は具体的な損切りの目安についてお伝えします。
 
損切りの方法に正解は無く、無数の方法が存在しますが、いくつか市場の原理に合っている「損切りの目安」をご紹介します。
 
 

①主要なサポート、レジスタンスの外側を損切りの目安にする

 
 
何度も価格が弾き返されている価格帯(サポート・レジスタンス)の外側は、損切りを設定する目安となります。
 
価格が何度も止められているポイントが明確に存在する場合は、サポート・レジスタンスを目安に損切りを設定してもよいでしょう。
 
 
ただし、FXの相場は常にピッタリ、高値や安値で止まることはありません。
 
通常、サポートレジスタンスも、線ではなく、面で機能しますので、余裕を持って考えておくことが大切です。
 
初心者の場合は、直近の高値や安値から離して損失を限定するのが一番分かりやすい方法になります。
 
 

②オーダーブックを損切りの目安にする

 
オーダーブックとは、取引所の顧客の取引状況を分かりやすくグラフにしたものです。
 
 
 
オーダーブックの見方は、右側のオープンポジションだと、オレンジのバーが個人投資家の「含み益」のポジションとなります、
 
そして右側のオープンポジションの青色のバーが「含み損のポジション」となります。
 
 
オープンポジションによって、どの価格帯でどのようなポジションを保有しているのかが把握できます。
 
この画像の例で言えば、個人投資家のロングポジションの含み損が増えているのが分かります。
 
 
 
そして、「含み損を抱えたトレーダーがどの価格帯で損切りをするのか?」という目安となるのが、左側のオープンオーダーになります。
 
オレンジのバーは指値注文なので「今よりも安く買いたい/今よりも高く売りたい」という注文になります。(新規の注文か、利確を確定させる注文です)
 
 
オープンオーダーの青で示されているグラフは、逆指値注文ですから、その多くは個人投資家の損切り注文となります。(今よりも高く買いたい/今よりも安く売りたいと考える逆指値注文)
 
 
この画像(左側のオープンオーダー)の例で言えば、含み損のロングポジションの損切りは、106.30付近に集中しているので、このあたりの価格帯がロングポジションを抱えている個人投資家の損切りが置かれているポイントだと考えることができます。
 
グラフでボリュームが多い価格帯は注目です。
 
オーダーブックを参考にすると、個人投資家の損切りが置かれているポイントが把握できるので、その価格帯は避けて損切りを設定してもよいでしょう。

③オプションバリアを損切りの目安にする

 
最後の一つは、オプションバリアの外側に損切りを設定する方法です。
 
オプションバリアとは、オプション取引の建玉が集中している価格帯のことです。
 
オプション取引とは、決められた価格で売買する権利、コール(買う権利)やプット(売る権利)を売買する金融商品です。
 
 
オプション取引は、単純に売り買いするタイプの金融商品ではなく、「決められた期日に、決められた価格で買うことができる権利」や、「決められた期日に、決められた価格で売ることができる権利」を行使して、取引をすることができます。
 
例えば、「3日後にドル円を100円で買う権利(コールオプション)」持っているのであれば、3日後にドル円の価格が101円になっていた場合には、「お得に買える」ということになります。馴染みが無いかもしれませんが、難しい話ではありません。
 
オプションの建玉が大きければ、オプションの建玉を保有するトレーダーが、「価格を守って利益を出したい!」という思惑を持ち、仕掛けを行います、その結果オプションの建玉が厚い価格帯が抵抗帯として機能しやすい傾向があります。
 
この価格帯を「オプションバリア」と呼びます。
 
オプションを取引しているトレーダーの多くは機関投資家などのプロプレイヤーとなり、大口トレーダーの思惑を知るヒントにもなります。
 
通常オプションの建玉はbloombarg端末などを使う機関投資家しか知り得ない情報ですが、一部webサイトでも確認することができます。
 
 
建玉が多い注目のオプション建玉は、こちらのサイトで確認することができます。
 
 
 
 
オプションの建玉を参考にして損切りの目安とすることは、理にかなっているので、参考にしていただければと思います。
 
以上、3つの損切りの目安をご紹介しました。
 
 

損切りが連発している状況で考えるべきこととは?

 
損切りが連発している状況では、損切り方法が正しいのか考えることも大切ですが、同時に「そもそも勝てるトレードをしているか?」という点も気にしておかなければなりません。
 
素晴らしい損切りをしていればFXで勝てる訳ではありません。
 
 
「エントリータイミングが悪くて損失が続いている」という可能性も十分に考えられるからです。
 
適切な損切りをするのは、基本中の基本ですが、損切りさえしていれば勝てるわけでは無いので、忘れないでおきましょう。
 
いくら損切りが上手く、損失を限定することができても、優位性(ゆういせい)のあるトレードができないのであれば、利益は残らないからです。
 
 

損切りしないトレード手法で利益を残せるか?

 
また、「損切りしないトレード手法」というキーワードで検索している人が月間で100人以上存在しています。
 
「損切りしない手法」や「負けるたびに枚数を売買に増やしていく手法」は、続けていくことで最終的に破産する運命が待っています。
 
 
恐ろしいことに、世の中の勝ち組トレーダーと名乗る人の中には「損切りをしない手法」で一時的に利益を上げている人も多数存在します。
 
例えば、1億円ぐらい資金があって、ナンピン(買い増し)し続けていれば、1トレードで500万ぐらいの利益を上げるのは、誰でもできるでしょう。
 
しかし、長期的に見れば必ず口座資金を吹き飛ばします。
 
 
自身で口座を吹き飛ばす経験しないと、損切りの重要性は真の意味で理解できないのかもしれません。
 
あなたがもし現在も「損切りしないトレード手法」で売買をされているのなら、危険な売買は今日限りにして、適切な資金管理の元FXをやっていっていくことをオススメします。
 
自分の資金を守れるのは、自分だけだからです。
 

損切りの目安まとめ

 
無数に損切りの方法は存在しますが、損切りを避けることはできませんし、完璧な損切りの方法もありません。
 
損切りの目安で大切なのは、「多くのトレーダーと同じ行動をとらない」ということと、「確実に損切りを実行する」ことです。
 
損切りを必要経費(コスト)として受け止め、口座資金を守りながら、資産を増やしていっていただければと思います。
 
お役に立てれば幸いです。
 

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Tatsuya Tsukada
1988年、山梨県生まれ。株式会社JOE代表取締役。 僕は資産運用のプロです。メルマガの読者は1万5000人を越え、現在はトレードをする傍ら、複数の会社を経営しています。 2012年よりブログを開始。トレードスクールの運営を行い3000名を越える受講生がいます。また24fitnessサイボディの創業者として経営に携わっています。