FXの大衆心理とは何か?大衆心理を利用するトレード方法。

FXの大衆心理とは何か?

大衆心理をトレーディングに活かす方法について徹底解説していきます。

FXの大衆心理とは何か?

FXにおける大衆心理とは、「プロ以外の一般的な参加者の心理状態」のことを指します。

プロ以外の参加者なので、平たく言えば、「大衆トレーダー=弱者(初心者)」と言い換えて考えてもらっても間違いではありません。

言い方は悪いですが、マーケットはゼロサムゲームであり、お金の奪い合いです。参加者は、1割の強者と、残りの9割の弱者で構成されているのです。

プロのトレーダーと、それ以外のトレーダーでは相場に参加する目線が違い、保有するポジションにも「偏り」が発生します。

一般的に、大衆側のトレーダー(弱者、初心者)は負のポジションを長く掴まされ、結果として損失を負う回数が多くなっています。

反対にプロのトレーダー、少数である強者サイドは、損失のポジションを保有する時間が短くなり、マーケットでは利益を享受していることになります。

大衆心理がFXでなぜ大切なのか?

FXで大衆心理を考えるということは、大多数のトレーダーがどのように行動するのか考える、ということなります。

大衆心理がなぜ重要視されるのかというと、マーケットの大きな価格変動は「大衆の行動」で引き起こされることがあるからです。

価格が変動するには、「より、高い価格でも良いから買いたい」「より、低い価格でも良いから売りたい」という参加者の意欲が必要です。

分かりやすいのは、ストップロスを巻き込む暴落の局面です。(損切りの場合の心理状況)

例えば、買いポジションを保有していて、買いポジションを慌ててて決済する場合には、「いくらでもいいから早くポジションを売って、手仕舞いしたい」と考えると思います。

このように、ポジションを不利な価格で手放すという行為(意欲)によって、価格は変動していくことになります。

※価格変動の原理についてはFXで勝てない仕組みを徹底解説の記事も参考にしてください

つまり、偏った大衆サイドのポジションの解消によって、相場が動いていることになるのです。

なぜ大衆心理が偏るのか?

大衆心理とは、大多数の心理ですが、時に、買いか売りでポジションの偏りが生じることになります。

そもそも、なぜこうした「偏り」が発生するのでしょうか?

大衆心理を理解するには、大衆がとってしまう「不利な行動」に繋がる原因をいくつか理解しておくことが大切です。

以下に代表的な心理効果をピックアップしていますので、確認していきましょう。

アンカリング効果

アンカリング効果とは認知バイアスの一種で、最初に見た情報によって、その後の判断が無意識に左右されてしまうという心理です。

アンカリングのアンカーとは「船のいかり」から来ています。海底にいかりが刺さって抜けなくなっているのをイメージしてもらえると分かり安いかと思います。

例えば、相場がありえないような急変動をして上昇した場合、その上昇に皆の意識が向くと思います。

急激な上昇相場を見て「これ以上は上がらないかも?」と考えるかもしれませんし、反対に「これだけ上がったのだから下がるかも?」と考えることもあるでしょう。

このように過去に発生した事象に意識が引っ張られることをアンカリング効果と呼び、無意識に「思い込み」をしてしまう可能性があります。

つまり、思い込みによって、「認知の偏り」が出来てしまうという現象をアンカリング効果と呼びます。

サンクコスト効果

他にはサンクコスト効果によっても、大衆心理の偏りが生じます。

サンクコスト効果というのは、すでに支払ったコストに気をとられ、その後合理的な判断ができなくなってしまう現象を指します。

トレードにおけるコストの例を挙げれば、「分析に時間をかける」こともコストと言えるでしょう。

例えば、分析に時間を費やし、ポジションを保有した場合、「自分の考えは間違っていない」という思い込みを生み出してしまう場合が多々あります。そのような思い込みによって、ポジションに対する執着が生まれ、損切りが遅くなることがあります。

また、取引には手数料などのコストが発生するので、それらもコストになります。

目に見えないコスト(労力)も含め、「支払ったコストを無駄にしたくはない」という無意識の働きが起こり、結果として、大多数が取る大衆の行動を選択してしまうことになります。

プロスペクト理論(損失回避の法則)

他に、代表的な性質としては、損失回避の法則があり、大衆心理に偏りが生じます。

人は皆、無意識に損失を回避する性質があります。通常は、利益よりも損失の方が、精神的に負うダメージが大きくなっていることから、売買においても損失を回避する行動をとりやすくなります。

これらは、人間の生存本能である、危機回避の性質から発生してるいるので強力に作用します。

損失回避の結果として、利益の出ているポジションは早く手仕舞いし、損失のポジションはずるずるホールドしてしまうことに繋がります。

上記のような、思考の偏りがあることによって、大衆側は無意識に不利な行動、つまり、負け組に結びつく行動をとることになります。

プロスペクト理論は、不確実性下における意思決定モデルの一つ。選択の結果得られる利益もしくは被る損害および、それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデル

大衆心理が偏るとどうなるのか?

では、大衆心理に「偏り」が生じると何が起こるのでしょうか?

仮に大衆側の心理が「絶対に上がる」というような強いバイアスが働いている場合には、強者側の機関投資家などは買いポジションを手じまい、売りポジションを仕込み始めます。

大衆心理が買いに傾いていればいるほど、下落が発生して、買いポジションを精算する時のインパクトは大きくなるからです。(買いポジションの手仕舞いによる売り)

マーケットでは、誰かの損失が誰かの利益である為、相場を動かす力を持つほど巨額の資産を運用するプレイヤーは大衆心理を利用した、投機的な仕掛けが行われることもマーケットでは見られます。

その結果、相場は頻繁に、大衆心理を裏切るような挙動をすることになります。

上がると思ったら下がり、下がると思ったら上がる、レンジだと思ったらブレイクする、という変幻自在の動きが頻繁に見られるのは、そもそもマーケットがマネーゲームの性質を持っているからです。

偏った弱者のポジションは強者に狙われているのです。

大衆心理をトレードに活かすには?

では、巨額な資金を持たない私達が、大衆心理をトレードに活かすにはどのようにすれば良いのでしょうか?

一つは、第三者的目線で、大衆心理が切り替わるポイントを探し、後追いする戦略です。

例えば、継続的な押し目買いが続いている相場においては、多くの参加者の目線が上に偏ることなります。

こうした相場で、買い手側は、押し目買いを繰り返すことになりますが、価格が下落していけば、買い手側は押し目買いを続けていくことはできません。

そうなれば、買い手側のロングのロスカットを巻き込み、下落は加速。買いと売りが入れ替わることになります。

最もシンプルなチャートパターンとして、何度も支持されたサポート、レジスタンスの突破があります。

※大衆心理が示すチャートパターンの一例として、ロールリバーサルについて解説した記事も参考にしてください。

ロスカットを巻き込む初動には乗れなくても、売り買いの決着がついた方向にポジションを傾けることは、強者側のポジションを後追いすることになるので、良い戦略となります。

巨額な資金を持たない一般のプレイヤーにおいては、売り買いの決着を待ち、強者の後について行く必要があるのです。

大衆心理とポジション比率

他には、未決済のポジション比率を確認することで、大衆心理を把握することもできます。

例えば、OANDAで提供しているポジション比率は、一般の個人トレーダーの未決済のポジション比率の統計になりますので、短期的なバイアスの確認には役立ちます。

OANDAオープンポジション(未決済ポジションの比率)

各銘柄、ロング、ショートどちらかに偏っていると思いますが、このように、未決済のポジションが偏ることがあります。

例えば、相場が下落する局面において、含み損を抱えたロングの比率が高いのであれば、ロングのポジション解消によって、さらに一段相場が下がる可能性があると考えることができます。

もちろん、大衆側が常に含み損を抱え続けているとは限りません。時として、大衆が支持する方向へ相場が動くこともあるからです。

未決済のポジションはリアルタイムで変化しますので、過信はできませんし、必ずしも偏ったポジションが取り崩される訳ではないので、ポジション比率だけでトレードすることは難しいです。

大衆心理だけで相場は勝てるのか?

ある程度、相場を経験したトレーダーであれば、誰でも知っていることなので、大衆心理を理解しただけで大きなアドバンテージを得ることはできません。

大衆心理による、プライスアクションを理解するのは、あくまでトレードの要素の一部であるからです。

しかし、他の外部要因も含めて、総合的な分析をし、その上で、大衆心理を活かしたプライスアクショントレードを取り入れると上手くいく可能性が高くなるでしょう。

チャート分析偏りすぎたり、ポジション比率に意識をとられすぎると、大局観を失うことにもなるので注意が必要です。

まとめ

大衆心理とは、プロ以外の一般的な参加者の心理状態のことを指します。

そして、マーケットの価格動向は、大衆によって形作られることが多くあるので、理解しておく必要があるでしょう。

「大衆側は何を考えているのか?」「どうしたら、大衆側ではないトレードができるのか?」と日々思考していくことが上達への近道です。

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ABOUT US
Tatsuya Tsukada
1988年、山梨県生まれ。株式会社JOE代表取締役。 僕は資産運用のプロです。メルマガの読者は1万5000人を越え、現在はトレードをする傍ら、複数の会社を経営しています。 2012年よりブログを開始。トレードスクールの運営を行い3000名を越える受講生がいます。また24fitnessサイボディの創業者として経営に携わっています。