豪ドル徹底解説。今後の豪ドルの見通しは?

この記事では「豪ドル・AUD・オーストラリアドル」についての徹底解説と、今後の見通しをみていきます。

豪ドル絡みの通貨ペアである、AUD/USD(オージードル)、AUD/JPY(豪ドル円)などの銘柄を売買される場合は必見の内容となっています!

オーストラリアドル・豪ドル(AUD)とは?

オートラリアドルは、オーストラリアが有する通貨で、別名で豪ドル(AUD)、オージーとも呼ばれています。オーストラリアの特徴は「先進国でありながら、豊富な天然資源に恵まれている」という特徴を持った国になります。

鉄鉱石や天然ガスなど豊富な資源により、オーストラリアの経済が支えられていることから、豪ドル(AUD)の価格と資源価格は密接に結びついています。

その為、豪ドル(AUD)は「資源国通貨」とも呼ばれ、他の先進国の通貨とは違った特性を持ちます。

豪ドルの取引を有利に運ぶ為には、オーストラリアの特徴を理解する必要がありますので、まずは、豪ドル(AUD)を発行するオーストラリアの特徴からみていきましょう。

オーストラリアの特徴は?

オーストラリアは南半球に位置する国家で、オーストラリア大陸やタスマニア島などからなる連邦国になります。

観光地として有名な、エアーズロックや世界最大の珊瑚礁であるグレートバリアリーフなどに代表されるように自然豊かで、資源が豊富な国ですね。

オーストラリア建国の歴史としては、18世紀にヨーロッパ人の移住が始まり植民地として始まったのがスタートとなります。

そしてその後、現在の州の元となる6つの植民地が集まり、イギリス政府が正式に承認し、オーストラリア連邦が誕生しました。

その後、19世紀に入ってからは、ゴールドラッシュが起こり、世界各地から移民が押しかけ、オーストラリアの人口が増加した経緯があります。

その後は、移民を受け入れながら、現在の他民族、多国籍国家を形成するに至っています。

オーストラリアは完全に独立した議会制民主主義国家ですが、正式にはイギリスの女王がオーストラリアの女王でもあります。

また、隣国に同じ資源国通貨であるニュージーランドドル(NZD)を有する、ニュージーランドがあります。

オーストラリアの基本データ

【面積】 769万2,024平方キロメートル(日本の約20倍、アラスカを除く米とほぼ同じ)

【人口】 約2,575万人(2021年9月。出典:豪州統計局)

【首都】 キャンベラ(Australian Capital Territory、人口約43万人[2021年9月。出典:豪州統計局])

【民族】 アングロサクソン系等欧州系が中心。その他に中東系、アジア系、先住民など。

【言語】 英語

出典:外務省(オーストラリア連邦)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/australia/data.html

豪ドル(AUD)と資源の関係

オーストラリアは、前述したように、鉄鉱石や石炭、天然ガスなどの資源が豊富な国で、輸出の半分以上を天然資源が占めています。

輸出(1)鉄鉱石(32.0%) (2)石炭(12.0%) (3)天然ガス(10.0%)
輸入(1)乗用車(6.4%) (2)精製油(5.4%) (3)通信機器(5.0%)
(2020年、財・サービス 出典:外務貿易省統計)

最も多い輸出品は鉄鉱石で、石炭、天然ガスを合わせると、50%以上にもなります。

日本は自動車や機械、電気機器等が50%以上を占めていますので、割合の大きさは分かりますね。

そして、オーストラリアで産出される資源の最大の輸出先は「中国」となります。

輸出割合の30%を中国が占めており、次いで米国、日本となり、日米との関連性も高い国となっています。

輸出 4,361億豪ドル (1)中国36.4% (2)日本10.7% (3)米国6.3%
輸入 3,608億豪ドル (1)中国23.9% (2)米国12.6% (3)日本5.5%
(2020年、財・サービス、出典:外務貿易省統計)

オーストラリア経済は、中国や日米の経済とも関係性が強いこともあり、日米の景気動向の影響を受けます。

また、オーストラリアは金の産出国としても、中国に次ぐ世界2位の規模を誇り、産金国である側面も持っています。

豪ドル(AUD)の価格変動の歴史

かつては豪ドル(AUD)と言えば「キャリートレード」がすぐに連想される時代があり、豪ドル(AUD)は代表的な「高金利通貨」でした。

2008年には豪ドル(AUD)の金利は7%まで上昇し、多くの投資家の資金を引きつけました。

高金利通貨は、マーケットが平時の状態である際に、金利収入を目的に投資対象として見られる傾向が強くなります。

しかしリーマンショック移行は、政策金利の引き下げに伴って豪ドルの金利が低下することになり、豪ドルに下押し圧力がかかりました。

世界が政治的、経済的に安定している時には、リスク資産として豪ドルに資金が集まりやすくなり、反対に経済が混乱していると、豪ドル(AUD)から資金が流出し、豪ドル安になりやすい傾向があります。

米ドル(USD)は基軸通貨でもあり、安全資産の側面が強いのですが、欧州通貨であるユーロ(EUR)や豪ドル(AUD)は、どちらかというと、リスクオフ(リスク回避)時に売られやすい傾向があります。

ただ、あくまで傾向であり、「リスクオンだから豪ドル(AUD)買い、リスクオフだから豪ドル(AUD)の売り」だと一概に考えることはできません。

豪ドル(AUD)の価格推移

次に、これまでの豪ドル(AUD)の推移と、世界経済の関係をおさらいしていきましょう。

世界経済が好調であった2006年~2007年にかけて、豪ドル(AUD)相場は急騰する展開となりました。

キャリートレードの恩恵を受け、豪ドル(AUD)は対円(JPY)相場で107円台まで上昇することになります。

しかし、その後の2008年にリーマンショックが発生すると、買われていたリスク資産の巻き戻しが急速に起こり、AUD/JPY(豪ドル円)は50円台まで急落する流れとなりました。

その後、アベノミクスによる円安相場で、AUD/JPY(豪ドル円)は再び105円台まで上昇することになります。

そして、2020年の初めから新型コロナウイルスの拡大によるリスク回避の動きで、再び下落するといった流れになっています。

直近の豪ドル(AUD)の動向としては、ロシアによるウクライナの侵攻を境に、エネルギー価格の高騰が起こり、再び豪ドル(AUD)が底堅く推移する展開となっています。

北半球の地政学リスクが高まったことで、資金が北半球から、南半球へ移動したことも豪ドル上昇の要因として考えられます。

このように、豪ドル(AUD)は世界経済の動向を強く受ける特徴を持っているので、豪ドル(AUD)の動向を読み解いていく上では世界経済の動きを抑えておく必要があります。

豪ドル(AUD)と米国株式市場

次に、豪ドル(AUD)と、米国株式市場との関係についてです。

オーストラリアの最大の輸出国である中国の動向も豪ドル(AUD)に関係しますが、2番目の輸出国である「米国」の動向も大きく影響します。

「オーストラリアと言えば中国」といった形で、豪ドルと中国との関係が、マーケットでは度々クローズアップされることが多いのですが、実際の価格変動においては、世界経済全体の動向や、エネルギー価格の影響を受ける方が強いです。

米国の株式市場や、米国の債権金利などの動向も、豪ドル(AUD)の動向に強く影響しますので、米株式市場や米債券金利の動きも合わせて見ていきましょう。

株式市場をウォッチする際は、S&P500や、ダウ平均、ナスダックなどの主要な株式指数を抑えておくと大局観を抑えることができます。

豪ドル(AUD)と直接関係性の強い、経済指標、イベント

豪ドル(AUD)と関連性が高い経済指標、イベントは以下のとおりです。

・RBA(オーストラリア中央銀行)政策金利発表
・豪消費者物価指数(CPI)
・豪州雇用統計
・豪州国内総生産(GDP)

豪ドル(AUD)は、中国の経済指標とも連動して動くことがありますが、メインはオーストラリアの中央銀行であるRBA(オーストラリア中央銀行)の政策金利発表。そして、消費者物価指数(CPI)、豪州の雇用関連の指標への注目度が最も高くなります。

豪ドル(AUD)を取引する場合は、上記指標発表時には注意が必要です。

資源や金利との相関を活かすには?

豪ドル(AUD)の特徴を紐解いていく際に、しばしば資源国価格と豪ドル(AUD)との相関が持ち出されます。

確かに資源価格と豪ドルの推移は相関している部分はありますが、鉄鉱石や天然ガスなどのマーケット意外にも他の変動要因がありますので、相関を利用して売買する際には注意が必要です。

豪ドル(AUD)と資源価格との相関に限ったことではありませんが、相関は常に変化しているので、一概に資源価格が上昇したから豪ドル(AUD)をロングすればいいというものではありません。

また、対円(JPY)で取引するのか、対ドル(USD)で取引するのか、対ユーロ(EUR)で取引するのかでも当然変わってきます。

相関を売買に取りいれる場合は、正の相関関係になっていると過信せずに、正の相関になっているのか、負の相関になっているのかを確認しながら売買をされるとよいでしょう。

豪ドル(AUD)と豪債券金利

豪ドル(AUD)と債券金利の利回りも資源国価格と同様に、時期によって度々変化します。

オーストラリア債券利回り2年債などの短期債をウォッチするとよいでしょう。

RBAと政策金利

RBA(オーストラリア中央銀行)が決定する政策金利の動向と金融政策は豪ドル(AUD)相場に最も大きな影響を与えます。

エネルギー価格が高騰すると、物価上昇が進み、それにともって、政策金利が引き上げられ、通貨高という流れが顕著に起こります。

直近のRBA(オーストラリア中央銀行)の金融政策については、新型頃のウイルスの対策として、政策金利を過去最低の0.1%まで切り下げました。

しかし、その後はインフレが加速し、物価上昇を抑制するため、2022年5月から8ヶ月連続の利上げを行い、政策金利は3.10%となっています。

RBAは今後も政策金利を引き上げを行う可能性を示唆し、豪ドル(AUD)だかをサポートする要因となっています。

オーストラリアでは、消費者物価指数(CPI)が前年同月比で7.3%となり、2023年の現在においても、インフレが続いている状況です。

豪ドルの見通し・まとめ

今後の豪ドル(AUD)相場の行方を読み解いて行く上では、資源国価格や中国の動向だけではカバーするのは難しいです。

特に対ドルではFRBの金融政策と米金利の動向。対円(JPY)では日銀の金融政策の動向も重要になります。

豪ドル(AUD)単体の見通しとしては、世界経済の動向に大きく左右されることになりますので、こちらも引き続きウォッチしていく必要がありそうです。

今後、米国がリセッション(景気後退局面)入りすれば、リスク通貨である豪ドル(AUD)は売られやすい環境となり、逆にソフトランディングに成功すれば、豪ドル(AUD)は買われやすい地合となります。

本稿執筆時点においては、中長期的には、対ドルで豪ドルが強い地合が続くと考えています。

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ABOUT US
Tatsuya Tsukada
1988年、山梨県生まれ。株式会社JOE代表取締役。 僕は資産運用のプロです。メルマガの読者は1万5000人を越え、現在はトレードをする傍ら、複数の会社を経営しています。 2012年よりブログを開始。トレードスクールの運営を行い3000名を越える受講生がいます。また24fitnessサイボディの創業者として経営に携わっています。