FXでは、損切りが非常に重要だと言われています。
損切りでは「損失を確定させる」ので、FX初心者の場合抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、過度な損失を抑えるために有用なのです。
FXをうまく活用するには、適切なタイミングにおける損切りが欠かせません。
しかし、投資初心者の中には、「どのラインで損切りしていいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、トレードスタイルごとにおける損切りの目安や損失をうまく抑えるためのポイントなどについて詳しく解説します。
目次
FXの損切りとは?意味や重要性を解説
損切りとは、あらかじめ自分で決めた含み損が出た時にポジションを決済して損失を確定させるポジジョン決済を指します。
損切りは損失を最小限にとどめられる特徴から非常に重要であり、損切りができないと損失がさらに拡大するなど様々なリスクが考えられます。
そこで、損切りの目的やリスクについて詳しく解説します。
損切りの目的は損失を最小限にすること
損切りの最大の目的は、損失を最小限に抑える点にあります。
例えば1ドル120円から上昇すると予想して「買い」を入れた場合、予想に反して118円、116円と下がっていくと、下がった分だけ損失は大きくなります。
損切りができる方は、あらかじめ「1ドルが116円になったら損切りしよう」と決めておき、実際に116円に達した時点で損切りするでしょう。
しかし、損切りができない方は114円、112円と下がり続けても「いつか上がるだろう」と期待してポジションを持ち続け、結果的に損失を拡大させてしまいます。
そのため「どの程度の損失になったら損切りする」と損切りのルールを決めておき、損失を最小限に抑えることが非常に重要なのです。
FXで損切りしないリスク
FXで損切りをせずにポジションを保有し続けても値上がりする場合はありますが、損切りをしないと以下の2つのリスクが起こる可能性があります。
- 損失が拡大しロスカットされる可能性も
- 勝ちのチャンスがなくなる
FXで損切りをしない2つのリスクについて詳しく解説します。
損失が拡大しロスカットされる可能性も
損切りせずに、損失が拡大していくとロスカットされる可能性があります。
ロスカットとは、含み損が証拠金維持率に対して一定ラインに達するとポジションを強制的に決済して損失を確定させる仕組みを指します。
損切りせずにポジションを持ち続けると、さらに損失が拡大してしまうリスクがあります。
そのため場合によっては証拠金に対して含み損が一定以上になり、自動的にロスカットされる可能性があるのです。
勝ちのチャンスがなくなる
損切りをせずに含み損を抱えたままポジションを持ち続ける状態は、勝ちの機会を失うことにつながります。
例えば1ドル120円から上昇すると考えて「買い」注文を行った場合、予想に反して価格が下落して、結果的に110円で下落がストップして反転した場合を考えてみましょう。
118円に下落した時に損切りしておけば、110円に下落した際に再度買いを入れて112円まで上昇すれば損切りした際に生じた2円分の損失を取り戻せます。また113円に上昇した場合には、トータル1円のプラスになります。
一方ポジションを持ち続けた場合には、再度120円まで上昇しなければ含み損を取り戻すことはできません。
そのため早めに損切りをしておけば、勝てるチャンスが増えるのです。
またポジションを持っている間は、資金に余裕がなければ他のポジションへのエントリーはできずに機会ロスにもなっていますので、注意が必要です。
損切りのタイミングを見極める3つの方法
損切りはチャートの動きや値動きからタイミングを見極められます。
損切りのタイミングを見極める方法には、主に以下の3つが挙げられます。
- レジスタンスライン・サポートラインに届く前に損切りする
- 直近の最安値を下回ったとき
- 利食い幅の半分の損失になったとき
それぞれの方法について詳しく解説します。
レジスタンスライン・サポートラインに届く前に損切りする
売りポジションを持っている場合はレジスタンスライン、買いポジションを持っている場合はサポートラインに届く前のタイミングが損切りの目安です。
レジスタンスラインとは高値同士を結んだ線で、サポートラインは安値同士を結んだ線です。
レジスタントラインを超えると上昇トレンド、サポートラインを超えると下降トレンドに入る可能性が高いので、ラインを超える前に損切りしておけば損失を止めやすくなるでしょう。
なお、期間の短いローソク足よりも日足や4時間足のように期間が長いローソク足で結ぶと、ラインが機能する可能性が高くなると言われています。
直近の最安値を下回ったとき
直近の最安値を下回った時や直近の最高値を上回った時は、トレンドに入る可能性が高いと言われています。
そのため、最安値や最高値を超えた時には損切りした方がよいでしょう。
トレードスタイルによる直近の目安は、以下の通りです。
- スキャルピング:数分~1日
- デイトレード:数日~数週間
- スイングトレード:1週間~数ヶ月
利食い幅の半分の損失になったとき
利食い幅の半分の損失になった時も、損切りするタイミングです
なぜなら利食い幅と同じ時に利確してしまうとと、スプレッドを考慮すれば利確幅よりも大きくなってしまうためです。
またあらかじめ決めてある利食い幅の半分で損切りしておけば、再エントリーした際に損失を取り戻すハードルが低くなるメリットもあります。
FXのトレードスタイル別の損切りの目安とは?
FXにおける損切りの目安は、トレードスタイルによって異なります。
主なトレードスタイルは以下の4つであり、それぞれの損切りの目安について詳しく解説します。
- スキャルピング
- デイトレード
- スイングトレード
- 長期保有
スキャルピング
スキャルピングとは、数秒〜1分程度の短い時間で細かい取引を繰り返すトレードスタイルです。
そのため小さな利益が出た場合もすぐに決済します。
10pips未満の利益でも利益が出たら決済するので、損切りの目安は5pipsほどです。
デイトレード
デイトレードとは、1日に1回から数回程度まで取引するトレードスタイルです。
デイトレードの利確の目安は数十pipsから100pips以上ですので、損切りの目安は50pips前後です。
スイングトレード
スイングトレードとは、数日〜数週間に1回取引を行うトレードスタイルです。
利食い幅の目安はデイトレードよりも大きく、数百pips程度となります。
そのため、スイングトレードでは150pips程度を損切りの目安とするのがよいでしょう。
長期保有
長期保有では、売買による利益よりもスワップポイントを狙っているケースが多いので、一概にどの程度が利食いラインとは言い難いです。
しかし、ポジションを保有したままの長期保有では、ロスカットだけは避けなければなりません。
なぜならこの場合にロスカットされると、損失が発生しただけで取引が自動的に終了してしまうからです。
また値動きにこだわらない場合には、自分であらかじめ維持したいと考える証拠金維持率を目安に損切りラインを設定するとよいでしょう。
例えば証拠金維持率200%を維持したい場合には、200%になるラインを損切りラインとして設定するなど、トレードスタイルに合わせて決めておくとよいでしょう。
自動でできる!確実に損切りする2つのFXのトレード方法
損切りのタイミングを逃さないために、確実に損切りできる2つのFXのトレード方法をご紹介します。
- ストップ注文(逆指値注文)
- OCO注文
それぞれのトレード方法で確実に損切りを行うための設定方法について詳しく解説します。
ストップ注文(逆指値注文)で損切りする際の設定方法
ストップ注文(逆指値注文)とは、指定した為替レートより高くなったら「買い」、安くなったら「売り」を発注するトレード方法です。
売りポジションを持っている時に予想に反して価格が上昇した場合、あらかじめ決めた損切りレートに到達すれば買い注文が発注されて損切りが実行されます。
逆に買いポジションを持っている時に予想に反して価格が下落した場合、あらかじめ決めた損切りレートに到達すれば売り注文が発注されて、損切りが実行されます。
つまり、エントリーと同時にストップ注文(逆指値注文)を入れておけば、あらかじめ決めておいた損切りラインで確実に損切りを行えるのです。
OCO注文で損切りする設定方法
OCO(One Cancels Others)注文とは、2つの注文を同時に出して、どちらか一方の注文が成立したら、もう1つの注文は自動的にキャンセルされるトレード方法です。
OCO注文を利用すれば、利確と損切りの両方をあらかじめ設定できます。
例えば1米ドル110円で買いポジションを持っており、利確ラインは120円で損切りラインは105円のケースでOCO注文を発注すると、以下のようになります。
- 1米ドル120円で売り(利確)
- 1米ドル105円で売り(損切り)
ポジションにエントリーした段階でストップ注文(逆指値注文)と同じように損切りの注文が出せるだけでなく、利確の発注もできるのです。
このようにあらかじめ決めたルールで利確と損切りの注文をエントリー時にできる点が、OCO注文の大きなメリットです。
FXの損失を抑えるための5つのポイント
FXの損失を抑えるためには、以下の5つのポイントを押さえることが重要です。
- 利益を出すことでなく損失を抑えることを追求する
- 自分が決めた利確と損切りルールを厳守する
- レバレッジを抑え、多くのポジションを持ちすぎない
- 定期的に利確・損切りのルールを見直す
- 通貨ペアを1つに絞りクロス円で取引する
トレードスタイルを守り、ポジションを持ちすぎないなど取引の方法を工夫すれば損失を抑えられます。
FXの損失を抑えるための5つのポイントについて詳しく解説します。
利益を出すことでなく損失を抑えることを追求する
まずは利益を出すよりも、損失を抑えることを先に考えましょう。
FXの初心者では、相場の動きを高い精度で予測することは困難です。
「下がる」と思っても上がるケースが多く、なかなか思い通りにいかないものです。
そのため、勝ち負けは運に左右される場合が多いでしょう。
しかし、損失を最小限に抑えておけば自ずと勝てる可能性は高くなります。
まずは「大きな損失が発生してロスカットされる」事態を避けて、損失を最小限に抑えて長期間取引できるようになることを目指しましょう。
自分が決めた利確と損切りルールを厳守する
FX取引に慣れてきたら、「どの程度の利益が出たら利確する」「どの程度の損失になったら損切りする」という自分なりのルールを決めておきましょう。
またポジションを持ったら、そのルール通りに取引することを遵守しましょう。
初心者の方では、損失が生じても「このまま保有すれば回復するかもしれない」「損失を確定させるのが嫌」と損切りに抵抗を感じますが、FXは感情を排してルール通りに取引するのが基本中の基本です。
そのためあらかじめルールを決めておき、ルール通りに取引を行うことをおすすめします。
なおルール通りに取引するには、エントリーと同時にストップ注文かOCO注文を入れておくのがよいでしょう。
レバレッジを抑え、多くのポジションを持ちすぎない
レバレッジを抑えて多くのポジションを持ちすぎないことも重要です。
レバレッジを高くしてポジションを多くしてしまうと、少しの値動きでも損失が大きくなるため損切りが間に合わなくなってしまう可能性があります。
取引に慣れるまではリスクを抑えるために、証拠金維持率300%程度のレバレッジで取引しましょう。
定期的に利確・損切りのルールを見直す
定期的に利確や損切りのルールを見直す方法もおすすめです。
相場や各国の情勢は常に変化しているため、最初に決めたルールが現在も通じるとは限りません。
そこでリスクを抑えて取引するには、定期的に利確や損切りのルールを見直すようにしましょう。
通貨ペアを1つに絞りクロス円で取引する
複数の通貨ペアに手を出さずに、円と外貨の通貨ペアであるクロス円に絞った方がスムーズに取引できます。
FXはチャートの動きだけではなく、通貨国の政治経済の事情も把握しなければなりません。
そのため複数の通貨に手を出してしまうと、収集しなければならない情報が多くなってしまいます。
そのため日本円を基軸としたクロス円ならば、収集すべき国の情報はかなり限定されるためやりやすいです。
まとめ
FXでは勝つ時もあれば負ける時もあります。
トータルで勝ちを目指すのが基本であり、そのためには「損失をいかに最小限に抑えるか」が非常に重要と言えます。
そこで欠かせないのが損切りであり、ルールに沿って機械的に実施することが重要です。
トレードスタイルに合わせた適切な損切りラインを設定し、ルール通りに損切りを行いましょう。
確実に損切りを行うためには、注文と同時にストップ注文やOCO注文を入れておく方法がおすすめです。