FXの情報を集めている中でフィボナッチという言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?
FXにおいてフィボナッチとはトレンドの見極めに活用できる重要なテクニカル分析の1つです。
「フィボナッチ・リトレースメント」というテクニカル分析の手法を理解しておけば
視覚的にトレンドを把握できます。
ただし、一口にフィボナッチ分析と言っても、その種類はいくつかあるので、分析手法の違いや特徴を理解して、適切に使い分けることが重要です。
この記事では、フィボナッチ分析の特徴や活用方法について詳しく解説していきます。
目次
フィボナッチとは?
FXをしていない人でもフィボナッチという言葉を耳にしたことがあるという人も多いのではないでしょうか?
フィボナッチとは簡単に言えば黄金比率のことで、人間が心理的に心地よいと感じる比率を指します。
まずはフィボナッチについて詳しく解説していきます。
フィボナッチ数列とフィボナッチ数0.618
フィボナッチとは、元々はレオナルド・フィボナッチというイタリアの数学者の名前からきています。
レオナルド・フィボナッチが発見した数列をフィボナッチ数列といいます。
フィボナッチ数列とは1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21…というように、前の数字を足した数が続く数列です。
1に1を足して2、2に1を足して3、3に2を足して5になることです。
なお、n+1項目÷n項目の計算結果は0.618となり、この0.618という数字をフィボナッチ数といいます。
黄金比率はフィボナッチ比率
1:0.618という割合はフォボナッチ比率と呼ばれ、この割合は黄金比とも言われます。
モナ・リザの絵やパルテノン神殿の構造にも採用されている割合で、人間が心理的に最も「整っている」と感じる割合とされています。
FXでもフィボナッチは重要視される
フィボナッチ数はFXでも重要視されます。
FXのチャートは人間の売買によって形成されています。
そのため、チャートも人間の視点から「美しい」「整っている」と思われる形で表現されることが多くなり、この際に活用できるのが人間が最も「整っている」と感じる比率であるフィボナッチ比です。
黄金比の観点から、「どこか相場の転換点か」を判断できる分析手法がフィボナッチ分析になります。
FXにおけるフィボナッチ分析の4つの種類
FXにおいてフィボナッチを活用した分析手法には次の4つの種類があります。
- フィボナッチ・リトレースメント
- フィボナッチ・アーク
- フィボナッチ・ファン
- フィボナッチ・タイムゾーン
4つのフィボナッチ分析の特徴と、最もよく使用されるフィボナッチ・リトレースメントにおける線の引き方を解説していきます。
①フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ・リトレースメントはフィボナッチ分析の中で最もメジャーな分析手法です。
高値を1、安値を0とした時、0.618までのラインで線を引くと、このライン上で相場が反発する傾向があります。
フィボナッチ・リトレースメントはチャート上に線を引くだけですので、非常にシンプルで使いやすく、エントリーや利確や損切りの価格を決めるのが簡単です。
実際にフィボナッチ・リトレース麺とで線を引き、使う流れを詳しく解説していきます。
フィボナッチ・リトレースメントを使う流れとラインの引き方
フィボナッチ・リトレースメントを使う流れは次の通りです。
- トレンドラインとフィボナッチラインを引く
- 数値ごとの特徴を理解して捉える
- 経験を積んで押し目戻りのポイントを把握する
基本的には決まった線を引いて、エントリーポイントなどを判断するだけですので、非常に簡単です。
実際にフィボナッチ・リトレースメントを使用する流れについて詳しく解説していきます。
1.トレンドラインとフィボナッチラインを引く
まずは、直近で目立った高値と安値を線で結びましょう。
安値が100%、高値を0%としてトレンドラインを引いて、その後フィボナッチラインを引いていきます。
フィボナッチラインは0.618だけではありません。
その他にも、23.6%、38.2%、50%などのラインも引いていきます。
トレンドラインを引いたら、まずはこれらの代表的なフィナボッチラインを引きましょう。
2.数値ごとの特徴を理解して捉える
フィナボッチラインは61.8%だけでなく、さまざまなラインがあります。
代表的なラインの数値と意味は次の通りです。
- 23.6%:(1-0.618)×0.618の数値、トレンドが強いときに、少しの押しが入る状況で作用するライン
- 38.2%:1-0.618から算出、少しの逆行が起こったときに作用するライン
- 50%:半値戻し、レートが反転しやすい状況
- 61.8%:深い押しが発生した際に機能するライン
それぞれの指標がどのような意味があるのか、しっかりと把握しておきましょう。
3.経験を積んで押し目戻りのポイント等を把握する
フィボナッチラインを引いて、それぞれの数値の意味を理解したら、実際にフィボナッチ・リトレースメントを使用して、分析を行います。
フィボナッチ・リトレースメントを活用した4つの分析手法
フィボナッチ・リトレースメントを活用した分析手法は主に次の4つです。
①押し目戻りのポイントを予測する
1つ目の分析方法が、押し目戻りのポイントを予測する方法です。
調整が入ったタイミングでラインで機能しそうなラインにタッチしている場合には、そのままトレンドが継続する可能性が高くなります。
また、調整の深さを把握することでトレンドの強さを予測可能です。
例えばトレンドが強い場合には、調整が弱くなるので23.5%が反転のポイントになるなど、どのラインにタッチして調整に入ったのかで、トレンドの強さも把握できます。
②トレンド転換を把握する
2つ目がトレンド転換を把握する方法です。
例えば、50%程度の大きな調整の際には反発が大きくなる傾向があるのでトレンド転換になる可能性が高いでしょう。
③サポートラインやレジスタントラインに活用する
3つ目の分析方法が.サポートラインやレジスタンスラインとして、フィボナッチラインを活用する方法です。
大きな時間軸でトレンドラインをつけてフィボナッチラインを引くことによって、どの程度の価格がサポートラインやレジスタンスラインなのかを見極められます。
④逆張りに使用する
4つ目の分析方法が逆張りに使用する方法です。
トレンドが発生している際の調整のタイミングで、反対方向にエントリーすることで逆張りを狙えます。
チャートが機能しそうなラインにタッチした時に、逆張りのエントリーをすることで効率的に逆張りのタイミングを探すことが可能です。
②フィボナッチ・アーク
フィボナッチ・アークとは、トレンドライン上に、61.8%、50%、38.2%が同心円上に孤を描きます。
弧は終点から外側に向けて38.2%、50%、61.8%の順番になり、チャートと弧が接した部分が押し目買い、戻り売りの目安と判断できます。
基本的にはフィボナッチ・リプレースメントと同じですが、フィボナッチラインを弧で描くことによって時間の概念を取り入れることが可能です。
フィボナッチ・アークでは時間の経過とともに、各ラインのレートが終点のレートに近づいていくため、時間とともに予測するレートの範囲を狭められるという特徴があります。
③フィボナッチ・ファン
フィボナッチファンとは、一定期間のチャートの高値と安値を結んだトレンドラインから、フィボナッチ数列に従って一定の割合で引き出した斜めのラインを扇状(ファン)で表示させるツールです。
起点と終点の間の高さを100%として、終点を通る垂直線上に38.2%、50.0%、61.8%の点を設定し、それぞれの点と起点を結ぶことによってフィボナッチ・ファンを描くことができます。
フィボナッチ・リプレースメントの斜めバージョンです。
押し目や戻り目、サポートラインやレジスタンスラインを予測するのに、フィボナッチ・ファンは活用できます。
トレンド継続中はフィボナッチ・リプレースメントは機能しなくなりますが、斜めに線が入っているフィボナッチ・ファンであればトレンドも加味されるため機能する可能性が高くなります。
④フィボナッチ・タイムゾーン
フィボナッチ・タイムゾーンとは、時間軸に対してフィボナッチ数列に応じた間隔の空いた垂直線を描画する分析手法です。
1,2,3,5,8,13,21,34と、フィボナッチ数列通りの間隔でチャートに線を引きます。
フィボナッチタイムゾーンはトレンドが変化する際の目安となります。
トレンドが継続中であっても、次のフォボナッチ・タイムゾーンの線が近づいてきたらトレンドが変化する可能性があるので利確の目安とします。
フィボナッチ・リプレースメント、フィボナッチ・アーク、フィボナッチ・ファンがレートに注目した指標であるのに対して、フィボナッチタイムゾーンは時間に注目しているという点が大きな違いです。
フィボナッチを使う際の3つの注意点
フィボナッチを使用する際には次の3つの注意点を頭に入れながら活用しましょう。
- 急激に変動している相場では機能しない
- トレンドの強弱を判断できない
- 定期的にラインを引き直す必要がある
フィボナッチは万能ではありませんし、定期的なラインの見直しも欠かせません。
フィボナッチを使用する際の3つの注意点について詳しく解説していきます。
急激に変動している相場では機能しない
フィボナッチ分析では急激に相場が変動するようなタイミングや強すぎるトレンドでは機能しません。
短時間に何度もフィボナッチラインに触れているような状況では簡単にラインを突破してしまいます。
フィボナッチ分析はトレンドが落ち着いている時しか機能しないという点に注意しましょう。
トレンドの強弱を判断できない
フィボナッチ分析はトレンドの方向性を判断することはできますが、トレンドの強弱を判断することには長けていません。
例えばm50%ラインに触れたから反発すると思っても、そのまま突き抜けてしまうことも珍しくありません。
フィボナッチ分析だけに頼るのではなく、他の分析手法とあわせて活用してください。
定期的にラインを引き直す必要がある
フィボナッチ分析で引いたラインをそのまま使用するのではなく、定期的にラインは引き直しましょう。
当初目立つと判断した高値と安値も、時間の経過とともに他の値へ変化するので、定期的にフィボナッチラインは引き直す必要があります。
高値・安値が更新された場合、当初引いたフィボナッチラインが機能していないと感じた場合には、別のラインへ引き直しましょう。
まとめ
フィボナッチとは1,2,3,5,8,13,21というように、前の数字と足した数字が次の数字になる数列です。
n+1項目÷n項目の計算結果は0.618となり、この0.618という割合が人間が最も心地よく「整理されている」と感じると言われています。
FXのチャートも人間が形成しているため、フィボナッチ数列に沿って動く傾向があり、これを活用した分析手法がフィボナッチ分析です。
フィボナッチ分析はチャートに線を引いて、その線を押し目買い、戻し目売りの目安としたり、サポートラインやレジスタントラインをするだけですので非常に簡単です。
視覚的に簡単な分析ができるため、他のテクニカル分析とあわせてフィボナッチ分析も活用してみましょう。